1999.10.15 東京オペラシティー開演前
この日が来ることをどれだけ多くのファンが待っていたことでしょう！いえ、、、ずっと何十年も待ち続けたのは、フジ子さん御自身ですね。どれほど大変な道のりだったことでしょう。幸運は向こうからはやってきません。御自分でつかむもの。それは真の芸術家だけに与えられる、一粒の黄金のしずくのようなもの。さあ！ステージで待っているスタインウェー、しっかりフジ子を受け止めてください。開演前のざわめき、ステージのそでで、フジ子さん、聞こえますか？満員の聴衆があなたのピアノを聴きたくて、そわそわしています。みんな笑顔で祝福しています。私はもう胸がいっぱいで、ドキドキしながら、ライトに照らし出されている黒猫のようなスタインウェーを見つめていました。しーんっとなったその時、優雅な足どりで少しはにかむような笑顔のフジ子さん！ああ！なんてきれいなんでしょう。
復活の幕は上がったのでした。
1999年10月15日（金）19：00開演
�ｦF．リスト
♪ 「ため息」（3つの演奏会用練習曲 S.144の3）
♪ 「小鳥に説教するアッシジの聖フランシス」（伝説 S.175の1）
♪ 「愛の夢」 第３番 変イ長調 S.541の3
♪ 「魔王」（シューベルト歌曲 トランスクリプション）
♪ 「ます」（シューベルト歌曲 トランスクリプション S.564
♪ 「ラ・カンパネラ」（パガニーニによる大練習曲 S.141の3）
�ｦF．ショパン
♪ 「ノクターン」 第2番 変ホ長調 作品9の2
♪ 「エチュード」 第1番 変イ長調 作品25の1「エオリアン・ハープ」
第5番 変ト長調 作品10の5「黒鍵」
第3番 ホ長調 作品10の3「別れの曲」
第7番 嬰ハ短調 作品25の7
第9番 変ト長調 作品25の9「蝶々」
3つの新練習曲 第1番 ヘ短調
第12番 ハ短調 作品10の12「革命」
～ �･ �･ �･ ～
�ｦR．シューマン
♪ 森の情景 作品82より 第7曲 ト短調 「鳥の予言者」
♪ 謝肉祭 作品9
曲目ごとの感想なんて、、、言葉がありません。恍惚の演奏でした。
音の端々にフジ子の気持ちが隠されています。その一音一音を拾うようにして、私たちは、フジ子の人生に同化していきました。まるでフジ子の人生のテープを巻き戻すかのように、、、。そんな過酷なことが、、、と、胸が痛み、素敵な出会いもあったのね、と、喜び、孤独な日々の喜びと悲しみをステージと聴衆は分かち合ったのでした。
この日の感動はなによりも変えがたい、フジ子からの贈り物です。