ここは地下鉄ベーカーストリート駅。
待っていたのは、かの有名私立探偵シャーロックホームズ と親友の医師ワトソンです。最近では事件の依頼がめっきり少なくなって、しかたなく
駅前での宣伝のビラ配りをしているんだとか。（？）平和な世の中は結構なことだけど 生活が苦しいので、しかたなく自宅を博物館として開放し、見物料をいただいている（？）と聞き、ホームズと
ワトソンを元気つけるために依頼人でもないのに自宅見物のためホームズの家へ行ったのでした。
ホームズとワトソンは、１８８１年〜１９０４年まで、ベーカーストリート２２１b番地に住んでいました。大家はミセスハドソン。１階にハドソン夫人のレストランがあって、おいしいヴィクトリアン料理
が楽しめます。玄関から１７段の階段を昇ると、ふたりが共有していた２階の書斎です。小説や映画でなんとなく想像していましたが、実際部屋へ入ってみると、狭くて散らかっていて隣の
寝室からホームズが飛び出して来そうな感じでした。書棚やテーブルや椅子などの家具が ふたりが暮らしていたヴィクトリア時代を彷彿とさせ、私はしばらくぼんやりと椅子に座ったままで
ホームズの手がけた事件の数々を思い出していました。
ベーカーストリートを見渡す書斎には、２つ大きな窓から光が入ること、そしてその部屋が相当 小さなものであることが、ワトソンの記述から知られています。ホームズが一跳びで書斎を
横切り、窓のカーテンを閉めたことや、大男の来訪で彼らの小部屋が実に窮屈に感じられたこと など、実際この部屋にいると、今にもホームズが後ろの階段から駈け上がって来て、お待たせしましたと
葉巻を燻らせる姿を想像するのでした。