2000.10.4 江戸川区民会館にて
2000.10.4（水）18：30会場 19：00開演
ミュンヘンでのレコーディングとコンサートも無事終えられて、帰国なさったばかりのフジ子さん。時差もあって体調が十分ではないのではと、ファンのみなさんは心配だったことでしょう。
開演前のホールではステージで静かに待つスタインウェーに目をむける人、プログラムをじっと見ている人、そわそわと座席を探して、にこやかに知り合いと挨拶を交わしている人たちで、静けさの中にも華やかな雰囲気が漂っていました。今から始まる久しぶりのフジ子さんのピアノに集った人々。
こうして、ホールはフジ子さんを迎える暖かな空気に包まれました。
ショパンのエチュード、、おなじみの曲ですけど、今夜のフジ子さんはいつもより、けだるくお弾きになりました。
とても艶のあるゆったりとした流れに聴衆は身をまかせて、フジ子さんの世界に浸っていました。こんな一夜もいいな。
衣裳も前半と後半ではガラリと変えて、さすがに優雅な足どりの彼女は何を着ても、素敵です。
ノクターンを飛ばして、リストをお弾きになって、それもまた格別でした。
そう、フジ子さんのリサイタルにプログラムなんていりません。何を弾くのかお楽しみのコンサートがあってもいいのです。メモを鍵盤のはじに置いて見てましたけど。それも結構窮屈だったりするのかもしれません。一曲目、ちょっと調律が、、、なんて思いましたが、フジ子さんの指は、ピアノを調律しながらお弾きになるような感じで、だんだんとピアノが暖まっていくようでした。聴いている私たちもほんわかと暖かくなって、気持ちの良い夢の中にいるようでした。
でも、ひたむきに弾く姿は感動を呼びます。カンパネラでは、あの鐘の音が再び聴けた喜びとこの音が生まれるまでのフジ子さんの奇蹟を思い、皆、息をのむ思いでその物語を聴いていたような感激を受けました。よかった！ラ・カンパネラ！
フジ子さんの言葉、「人生、やってきたことにむだなことなんてないのよ。なんでも一生懸命にやっていれば、必ず神様が見ていて、ごほうびをくださるのよ」
ほんとうですね。ただひたむきにやりとおす、、、それが幸せにつながるということ、フジ子さんは御自分のピアノで伝えてくださいました。
拍手は鳴り止まず、花束を何束も受け取って、アンコールをお弾きになったフジ子さん。
何曲も、何曲も、、、素晴らしいピアニストが日本にいる！ここにいる！生きている！
感動と感涙と歓喜に満ちたリサイタルでした。