夕方５時半を過ぎて、椿山荘に到着。すでに受付は、着飾った人々の列ができている。華やかな雰囲気。今夜は２７０余名のサロンコンサート＆ディナー。ボールルーム中央にベーゼンドルファの中型グランド。天井にはきらめくシャンデリア。中央に白い花とリボンをあしらったキャンドルも下がっている。７時を過ぎて、フジ子さんが笑顔でゆったりと登場。黒のジャケットに黒のパンツ。右肩に大ぶりの白いコサージュ。ジャケット右下に、銀のブローチ。頭にいつもの銀の髪飾り。
演奏が始まった。
スタインウェイと異なるベーゼンの落ち着いた音色。Bachの曲が似合いそうな味わいのある懐の深い響きが、心地よかった。シューベルトの即興曲、フジ子ワールドへのいざない。ぬくもりと優しさのあふれる一粒一粒の音たち。今夜もフジ子さん、絶好調だ。会場は彼女の演奏をいとおしむ歓喜に満ちあふれ、呼吸も忘れたかのような集中。エチュードも、みな良かった! 愛の夢も本当に夢のよう。アンコールでは立ち上がって拍手。その後、カクテルタイム。いったん扉の外へ出される。
９時過ぎからディナー。
Menu
真鯛とサーモンの香草マリネ オレンジソース
シャンピニオンのビスク ガーリック風味
鱸のワイン蒸し グリーンアスパラ添え シャンパンソース
牛フィレ肉のグリル マスタードソース 温野菜添え
チョコレートとヘーゼルナッツのムース
コーヒー 又は 紅茶
プチフール （フォーシーズンズの各種チョコ）
パン （オニオンロール、クルミ）
時間が遅いのとすでに感極まって胸がいっぱいだったこともあり食欲はあまりなかったが、おいしいディナーだった。周囲との歓談も楽しかった。デザート時にフジ子さん再登場。予め集められた質問をまじえてのトークタイム。
フジ子さんは白と黒のストライプのジャケットにロングスカート。
Ｑ「健康の秘訣は？」
フジ子「体操、お散歩、寒くても歩かないと、ボケてしまいます」
Ｑ「地球最後の瞬間に弾きたい曲は？」
フジ子「ドビュッシーの曲です」
Ｑ 「育っていく子どもに伝えたいメッセージは？」
フジ子「ひとを許すこと。寛容な心。忍耐」
Ｑ「フジ子さんにとってずばり音楽とは？」
フジ子「人生のあらゆる苦しみから逃れられる道」
その他、今後カーネギーの予定など笑顔のトークタイムで会場は明るい雰囲気に包まれた。ひとりでピアノを弾くのは楽しいけれど、やはりリサイタルは大変なエネルギーだという。でも、人を感動させる演奏を届けるために、がんばって旅もつづけると話すフジ子さん。やがてお開きの時間が訪れる。ひとりひとり、あたたかい拍手声援で、彼女を見送った。１１時過ぎ、フジコ・ビールをお土産にホテルを出る。家に
着いたのは深夜。それにしてもなんと素晴らしいひととき！１２時をまわっても解けない魔法。朝が訪れてもさめることのない夢・・・。
フジ子さん、本当にありがとうございました。
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生フジ子さんは意外と小柄で、「ええっ、こんな小さなひとがあのような迫力ある演奏を！？ ＴＶやステージでは大きく見えたのに！？」と…。オーラのあるひとは大きく見えるといいますからね。トークショウの方を（憶えている限り）詳細に記してみたいと思いまっす。衣装は演奏の時と異なる、ぱっきりとしたモノトーン配色のジャケット。ファッション業界では、このぱっきりモノトーンこそが春夏のトレンドと予測されております。偶然かも知れませんが、さすが洒落もの、フジ子さん。司会者ともどもチェアに腰をおろして、いよいよインタビューの始まり始まり〜！
司会者（以下司）：今夜のホテルでの演奏はいかがでしたか？
フジ子（以下Ｆ）：昔、青山（だっけな？）のロシア料理屋で毎晩弾いてたからね、
こういうのは慣れてるんですよ。
司：午後に椿山荘の庭園をお散歩されてたようですが。
Ｆ：散歩は毎日します。
司：フジ子さんは猫ちゃんや犬ちゃんを連れて旅をされることもあると思うのですが …。（ホテルについての質問）
Ｆ：こっち（日本）のホテルはやたらきれいでしょう。私はきれい過ぎるのはあまり …。むこう（欧州）の方は結構汚いですよ。敷物とかも替えないの。だから私、 こっちのホテルでは『わざわざ毎日（タオル等を？）替えなくていいわよ』って 言ってるの。
司：では会場の皆さんからの質問から。今日の衣装のポイントは？（折角の機会なの になんという低俗な質問と、一部で失笑あり）
Ｆ：弟（ウルフ氏）が、私はズボンの方が良く似合うって言うので、今日はズボンに しました。
司：世界の終わりに最後に弾くとしたら？
Ｆ：うーん（そしてすぐ）ドビュッシー。ああ、あとラヴェルを弾くわね。
司：それは…その時にはぜひご一緒したいですね（？）。
司：やはりピアノを弾いてる時というのは楽しいですか？
Ｆ：こういう、人前で弾くのは楽しくないです（断言したので会場は笑い）。
家でひとりで弾く時は色々情景を思いながらだから楽しいけど。
人前だと、間違っちゃいけないとか、次の曲とか考えなきゃいけないから（会 場・笑）。
コンサートの予定がいっぱいで、『あ〜今日もか…』って思うんだけど、
『まぁ、しょうがないから弾こうかな』と（会場・爆笑）。
司：ところで６月にはカーネギーですね。
Ｆ：アメリカ人は結構日本人によくしてくれる人が多いんですよ。
勿論、録音した訳ではないので不備も多々ありますが、ちなみさんのご報告以外 のとこは大体こんな感じでした。
私としては『しょうがないから弾こうかな』のあたりが、色んなイミで強烈で忘 れられない。あの独特の口調でね。
ちなみさん、ペトラルコさん、ディナーショーの様子、ありがとうございます！メニューも豪華、ボールルームという絢爛豪華な会場でのディナーショーの雰囲気が伝わってきます！フジ子さんのトークも炸裂（？）して、なごやかなムードでしたね。ほろ酔いかげんで御帰宅。素敵な一夜をありがとう！
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